半世紀前に刊行された「日本沈没(小松左京)」。今も楽しめる3つの魅力!
1973年(昭和48年)に刊行され、いくつもの賞を受賞し、映画化(しかも2回!)、テレビドラマ化、ラジオドラマ化された「空前の大ベストセラー」とも評された小説。
もう半世紀も前に出版された本ですが、たびたび話題になってましたし、何より、
- 私の好みであるパニック小説
- 日本列島が沈没するという身近な舞台
- 日本列島がなくなるとどうなるの?という興味
で、いずれは読んでみようと思っていましたが、ようやく完読しました。
おもしろさ[1] 迫真の科学的描写
深海潮流、海水異常振動、負の重力異常帯、地熱流異常帯といった地球物理学的視点で見る現象の数々、日本列島形成の一説など、科学的な描写がこの作品の魅力のひとつかと思います。
私にはその知見はないので、空想なのか、実際にあるのか、まったく分かりませんが、その迫真的な表現に現実を感じました。
8千メートルの海底、800気圧(1平方センチあたり800㎏)の世界など、海底地形や環境の描写も繊細で、何が起こっているかがわからない恐ろしさに心拍数もあがります。実現象モデルとした地球内メカニズムの仮説も臨場感アリです。
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おもしろさ[2] それぞれの立場での苦悩と判断
日本の深海で起こっている現象を知り、これから起こる悲劇を現実のものに感じつつも、どのように社会に知らせていくかに苦悩する学者たち。本当に日本が沈没するかどうかが分からないまま、海外退避計画を推し進める総理大臣。秘密裏に日本難民の受け入れを打診される海外諸国の首脳。そして、日本国民。
主人公のひとりである潜水艇操艇者とそれを取り巻く友人・知人、そしてヒロインの視点も。
それぞれの立場に降りかかる難問と乗り越えるための苦悩、そして判断。
沈没する日本に対する各国の思惑や安全な場所から興味本位で見る海外諸国のマスコミなんかも。
おかれた状況の描写が精細だったり、現実味を帯びていたり。
パニックだけではない、人々の交錯する想いも見どころのひとつ。
おもしろさ[3] 半世紀前にみた未来予想図
197X年とされる近未来設定。2020年の今となればもうはるか昔のこと。当時考えていた未来予想図と現実のギャップも見どころのひとつ。
超電導リニアが全線の測量が終わり工事が始まっている世界となっていたりとか。
中央リニア新幹線の品川-名古屋間の開業は2027年らしいです。
潜航深度8,000mの深海探査艇とか。
現在活躍中の「しんかい6500」の潜航深度は6,500mみたいですね。
日本が沈没するほどの災害を仮想体験する
噴火、地震、津波、沈降浸水。次々起こる災害は日本列島の構造形成にも影響を与えるほどに。
過去に一度も起こったことがないことでも、未来には起こり得ないとはいえない!(日本沈没[下])
とあるように、最近の気象現象でも、50年に一度の大雨が度々発生する等、本当に何が起こってもおかしくない世界になってきています。
日本沈没は極端な例としても、こうした小説による仮想体験をもとに、意識を高めておくのが大切ってことですかね。
さあ、ボクならどうしようか。
船買うか、船。
豪華客船。
とりあえず、もう一度読み込んで、ふたたび仮想体験ですね。まだ読んでいない人は是非!
日本沈没(上)
鳥島の南東にある無人島が、一夜にして海中に沈んだ。深海潜水艇の操艇責任者の小野寺は、地球物理学の田所博士とともに、近辺の海溝を調査し、海底での異変に気づく。以降、日本各地で地震や火山の噴火が頻発。自殺した友人を京都で弔っていた小野寺も、地震に巻き込まれ、消息不明になるが、ある日突然、ナポリの消印がある辞表が会社に届く。どうやら田所の個人研究所と関係があるようで……。日本SF史に輝くベストセラー。(「Books出版書誌データベース」より)
日本沈没(下)
ついに巨大地震が東京を襲い、富士火山帯の火山が相次いで噴火。対応に追われる日本政府は、海外に国民を移住させようと、密かに交渉を進めていた。一方、田所博士が中心となって立ち上げた「D計画」の一員となった小野寺は、潜水艇で海底の調査を行う日々を送っていた。ある日、防衛庁にある計画本部の総務室で、「日本列島は沈没する!?」という見出しがついた週刊誌を目にし――。日本はどうなるのか!? 全国民必読のベストセラー。(「Books出版書誌データベース」より)
数々の災害は起これども、また立ち上がり、復興を重ねてきた先人の日本人に感謝ですね。
ありがたや、ありがたや。
今週のお題「感謝したいこと」
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