ハラスメントの切り口で企業の闇を暴いていくエンタメ企業小説『ハラスメントゲーム(井上由美子)』
最近、企業小説にハマっています。
といっても、池井戸潤ばっかりだったけどな!
池井戸潤小説は銀行を舞台にしていましたが、これはタイトルどおりハラスメントがテーマ。
セクハラ、パワハラだけでなく、
といったものや、
- ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
- 逆パワハラ
- 世話焼きハラスメント(セワハラ)
- 家事ハラスメント
- エアーハラスメント
なーんてものまで登場します。テーマは「ハラスメント」ではありますが、この小説のおもしろ味は「仕事に対する想い」「思惑・陥れ・策略が交錯する人間関係」「難物を落とす交渉力(交渉術・交渉態度)」といったところ。
違和感から問題の本質を読み解き、誰の何が正しいのかを暴いていくスッキリ感。これも魅力!
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さらには、ひとつひとつのハラスメント事例をもとにした個別の小ストーリーのウラにある一貫した大きなストーリーもあって、小説終盤の盛り上がりに突入。このクライマックス感がたまりません。
そして、明日は我が身のハラスメント。会社員生活の身を引き締めるテキストでもあります。
ココロに残った一節を紹介します。
間違ったことをしている人間に注意すらしないことを見殺しと言います。その方がよっぽど残酷で無慈悲なパワハラです。
うーん、実に示唆に富む。
かつて凄腕で鳴らし、あることをきっかけに地方に飛ばされていた秋津渉(あきつ わたる)がマルオーホールディングス本社に呼び戻され、コンプライアンス室長に任命された。
会社のリスクマネジメント業務を携わるコンプライアンス室には、セクハラ、パワハラ、パタハラなど一筋縄ではいかないハラスメント問題が山積みで、唯一の部下である高村真琴(たかむらまこと)とともに難題に立ち向かっていく。
経営を揺るがしかねないハラスメント問題を解決していくうちに、三代目社長と実力者の常務との対立に巻き込まれ、さらに会社存続に関わる深い闇があることがわかってくる。
果たして秋津たちは会社の危機を救うのか? それとも――。
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